アクション好きが観てきた映画感想!!(あくまでも個人的な感想です)

映画の感想をブログでやってみます。なにぶん素人ですのでどうか暖かい目で見てほしいです(不快になられても責任とれませんので悪しからず)

テリー・ギリアムのドンキホーテ

テリー・ギリアムドンキホーテ

監督・脚本 テリー・ギリアム

脚本 トニー・グリソーニ

主演 アダム・ドライバー
ジョナサン・プライス


短文感想
映画史上最も呪われた企画に挑み続けた映画史上最も映画の神から愛されなかった監督が描いた狂気と驚愕の夢物語
個人的%率
80%
















ネタバレ感想
テリー・ギリアムドンキホーテを語る前にテリー・ギリアム自身について少し話さないといけない。
彼は恐らく処か確実に映画の神から最も愛されなかった監督だ。
今まで描いてきた映画でトラブルとは切っても切れないほど腐れ縁が強かった。
未来世紀ブラジル』ではアメリカ公開は自分の意図していなかった状態で上映されて『バロン』ではプロデューサーの予算の管理ミスで予算が膨れ上がり、スタジオと争い、結果的に思い描いていたビジョンを描けず仕舞い。
それ以降はトラブルらしいトラブルは目立たなかったが、キャスティングが上手くいかないなど度々あった。
『Drパンナサスの鏡』ではまさかの主演俳優ヒース・レジャーの死亡。
と常に映画の神がまるで断罪をするかのようにトラブルを与え続けてきた。
この『ドンキホーテ』もその1つである。
度重なる撮影延期と俳優の降板。
映画史上最も呪われた企画と言われ続けてきた。
構想30年 9回の延期。
正直、ここまで呪われていると企画すら消えそうなのをテリー・ギリアムとスタッフは気合いと根性で完成させた。
その話は実にテリー・ギリアムらしい話だが、テリー・ギリアムらしくない物語だった。

自分をドンキホーテだと信じる老人と一緒に旅をするはめになったCM監督の滑稽な騒動を描いた作品だが、テリー・ギリアムらしくないのは結末だ。
テリー・ギリアムはどちらかと言えば、幻想的な物語の上に救いのない物語を持ってくる露悪的な作風の監督だが、今作の結末は夢は引き継がれていき、永遠となるという今までとはほぼ真逆な結末だったのだ。
『バロン』では確かにハッピーエンドで締め括られているが違うところがある。
それはバロンはかつての仲間と今の仲間の両方がいてこそのハッピーエンドで一人ぼっちの人間にはドSとしか言いようがないほど絶望を与えてきたのだ。
そうテリー・ギリアムはぼっちとかオタクに対して今まで鞭を打ち続けてきた監督だ。
その凶悪さには映画を実際に観ないとわからないが、今作にそんな感じはない。
むしろ明らかに今までとは目線が違いすぎる。
一人で頑固で自己中な人間に対して厳しく説教してきた監督が「自身をドンキホーテと思ってる老人」には驚くほど優しかった。
恐らく、歳を重ねてドンキホーテをやったのがかつて共にブラジルを作ったジョナサン・プライスだからだろう。
テリー・ギリアム程の人間がそうそう変わるとは思えない。何故ならこの監督の呪われっぷりは世界一だがタフさも世界一で年々心臓に毛が這えてるのか?と思わんばかりにタフになっていた。
今さらそう簡単に変わるとは思えない。
しかし、それでも変わったとなれば構想30年頓挫9回の過酷さは想像を絶する物と言う証明である。
別に映画を描く腕が落ちたとかダメな映画だとかの次元で言ってるのではない。
映画を通してテリー・ギリアムの変化が観られたのだ。こんな美味しい事はない。
それは映画をただ観るとは違った楽しみかたで凄く楽しかった。
テリー・ギリアムは今作で夢の引き継がれていくのをやった。
それは一体誰に当てたのだろう?
次世代か?
それとも友人か?
今作のスタッフ達か?
それはテリー・ギリアム本人にしかわからないだろう。
絶賛しているが、個人的に100%ではないのはテリー・ギリアムのブラジルよりも衝撃が弱いと思ったからだ。
いや、ここまで来ると自分の個人的な好き嫌いだ。
もしも自分が評論家と言う仕事だったら、この映画には100%同調するしかない。
あくまでも一人の映画好きだからこそ、これになるのだ。
文字通りの幻想を楽しめて満足だ。