アクション好きが観てきた映画感想!!(あくまでも個人的な感想です)

映画の感想をブログでやってみます。なにぶん素人ですのでどうか暖かい目で見てほしいです(不快になられても責任とれませんので悪しからず)

哀れなるものたち

短文感想

シュールな世界観で残酷な事をやりつつも中身は超道徳的!!

個人的%率 90%

 

 

 

ネタバレ感想

『哀れなるものたち』を鑑賞しました!アカデミー賞にノミネートされてる作品は基本的に避けていました(映画通ぶれる感じが嫌だったので)が色々あって観る事に

とは言っても非常に感想に困るのも事実で話の感想は後ほど、先ずは話以外の感想から云うと映像が中々に強烈でした。グロいのもあるのですがそれよりも超広角レンズなのか魚眼なのかシュールレアリスムそのものを撮ったかのような映像にやられてかなり観てて酔いました。一度観たら忘れられない映像で本当に強烈。

弦楽器を中心とした音楽も不快な金切り音みたいになるギリギリを責めてて聞いてて新鮮でした。派手なシーンに台詞を言ってない場面で印象的に使ってるので耳に残りやすかったです。途中の性行為を教えてる場面の音楽の使い方は爆笑してました。台詞のタイミングで音楽を一々止めるんじゃないよww笑うだろww

編集に関してはそこまで、というのも映像と演技に圧倒されるような世界観ありきの映画なのでそこを邪魔してないとなると良い編集ではあると思うのですがそこまでしか分からなかったです。

 

話は倫理観をどこに置いてきた?とツッコミたくなるような感じでしたが映像が全体的にシュールレアリスムが全編蔓延ってるような感じなのでこういった映像じゃないと完全に自分はドン引きするのは分かります。

ただこの作品の難しい所は非倫理のド真ん中のような世界観なのに実は道徳的な部分が重要視されてるのが難しくて(結構キツいブラックジョークが多いですし)、話は結構単純なんですよ、ベラに不利益な事をした者には破滅が訪れるって感じで、最初はベラを作って屋敷に閉じ込めたゴッドウィンとマックス、これはベラがダンカンと共に旅に出たことが傷になった事で禊はすんだのかな?そしてベラで遊んだ後に捨てようとしたダンカンはドンドンとベラに溺れて逆に捨てられる羽目にまぁ結構なカスなので同情心はわかなかったです。

ベラと船で友達になるマーサとハリー、ベラに知識や新しい世界を教える2人はベラを傷つけようとしてないので友人のまま、ハリーに関してはアムステルダムで下に降りようとしたベラを止めようとして傷を負いましたがこれは理由がどうであれ彼女を映像の通り無理やり止めたから出来た代償でダンカンやゴッドウィン達のように結構後に引いてない感じになったのは彼女の身の安全を優先してたから。ハリーが肉欲に溺れてなかったのはその後のパリのベラの台詞からも分かります。映像の方でもベラが進もうとした先の階段は崩壊しててベラが進んでもあるのはベラの破滅しか無かったのだと

そしてパリでマダムスワイニーの元で娼婦になるのですが、ここで成長を続けてるベラは娼館のシステムを変えようとしますがマダムから叱られます。マダムにも抱えてる問題があって孫の治療費を稼ごうにも歳を取りすぎて稼げないから娼婦を斡旋してる。つまり成長を続けてるベラがこのまま娼婦のシステムを壊すと赤ん坊が死ぬという二択の中でベラは赤ん坊の方を取る。これは世界を変えたりするには辛い事や苦しいことを経験しないとというマダムの言葉通りで無垢で倫理や道徳を超越した存在のようなベラがそれを選んだ事で人間になるんですよね。

同じ娼婦のトワイネットと友人になりながらも勉強をしたり、人として成長していく彼女はゴッドウィンの危篤を気にロンドンに戻る。そこで自分が生まれた理由やゴッドウィン達がやってきた事を知り、生まれは酷いかもしれないがその"生"は悪くなかったと自分で選択してマックスと結婚かと思いきや、ベラの元の肉体ヴィクトリアの夫のアルフィーが乱入し、ベラはマックスとの結婚の前に彼と行く事を決める。そこでアルフィーがダンカン以上のクソ野郎と知り逃げようとするが銃で脅して止めるアルフィークロロホルムが入ったマティーニでベラを完全な所有物のようにしようとするもベラが咄嗟にマティーニアルフィーにぶっかけて自分の持ってた銃で足を撃って自爆(自爆なのが非常に秀逸)。

最後はマックスの元に戻って失血死しそうなアルフィーを助けますが寓話として今作が非常に秀逸なのはアルフィーに対してベラは自分がゴッドウィンにされたのと同じように彼の頭にヤギの脳を入れるという自分が所有物になるエンド。まぁここで治しただけになるとベラがスーパーヒーローみたいな感じになって今までの寓話性からズレてくるので納得の着地。最後はトワイネット、マックス達と一緒に笑って終わりました。

寓話としての完成度が凄い高い映画で死者蘇生はキリスト教ではタブー、つまりこの映画反キリスト的な映画ではあるんです。ベラの娼婦に神父までいたし。けど普遍的な道徳、『人を傷つけてはいけない』とか『赤ん坊は大切に』とかそう云う道徳は守るべきという倫理観が遠い彼方に行ってるのに描かれてる内容が内容なので非常にどう反応するべきなのかそもそも話自体も毒の強いブラックジョークですし、自分が寓話として見始めたのは船に乗った後のマーサ夫人とハリーに出会ってからですね。リスボンに行ってから獣のようにダイカンとヤッてたけど2人と出会ってから本を読むのが中心になり獣ではないベラの成長が描かれたのとアムステルダムの流れですね。これ非常に解釈に迷う場面ではあるんです。ハリーがベラの下に行きたいって意思を阻止してるのでハリーもまたダイカンと同じような男なのか違うのか・・・迷いますし恐らく見る人によって無数の解釈があると思うがベラの階段の先が崩壊してるので自分はハリーの行為は単なる善意と判断しました。

まぁ上にも書いたようにベラの意思を無理やり止めたので代償はありましたけど、パリのマダムはハリー以上に難しくてベラの意思を阻止しているのですがベラに住む場所、勉強する時間など色んな物を与えてて『理想の為には耐える事もまた必要』『赤ん坊には優しく』という2つの道徳や価値観の上で描かれてマダムがここで百戦錬磨で客が大勢いるならたぶん破滅したかも知れませんが歳を取りすぎてタダでも無理。つまりアムステルダムで棄てられていた赤ん坊と同じ状態なんですよ。だからベラにとってマダムは助けられ助ける存在、対等なんです。対等だからこそベラに叱っても破滅はしない、何故なら持ちつ持たれつの関係だからまぁ最後にベラがあの娼館に居なくて大丈夫かな?と思わなくもないですが対等ゆえに止める権限もないのでたぶん大丈夫でしょう。あの人やり手だし。

そしてマックス・・・微妙なんですよねマックスもまた。マックスに関してはゴッドウィンと共にベラを閉じ込めようとした事の罰はゴッドウィンの前でベラが医師になる事を伝えたので一緒に流れつつもちょくちょく答えに悩む台詞があるんですよ「君を抱いた男達に嫉妬する」とか「君にかなり入れ込んでる」とか細かい所までは何回か確認しないといけないけどニュアンスはあってるはず。これをアウトと取るかは悩むんですがこれって別にマックスが思ってる事ってだけでベラは娼婦だった事に対しても聞いて「君の体だ」って答えてるのを見て大丈夫かな?と思ってた矢先に「性病の検査」・・・ギャグなのかマックスもアウトな部類なのか判断つきにくい!!まぁベラも検査しようとしてたと言ってるのでギャグと捉えても良いはずだとはおもいますが、

そしてアルフィー・・・ダンカンとの違いに関してはダンカンはベラを悪魔といった・・・つまり最終的に自分の身を破滅させる者として恐れたのに対してアルフィーはずっと自分の所有物扱い、ものすごい傲慢さで使用人達を銃で脅すのは日常茶飯事のカス野郎。そして銃で人をいたぶっていたアルフィーは自分の足を自分で撃つという因果応報っぷりを発揮。最後にヤギエンド。

因果応報だけなら足を撃って終わりでも良いんですがそんな良い感じの話で終わってたまるかという執念なのかヤギエンドは中々にゾワッと来ました。こうグリム童話とか子供に聴かせる怖い話みたいな感じの映画でカオスかつシュールな映画でもありますがシンプルな筋運びでだいぶ見易かったです。

不満を上げるとしたら反骨精神と自由意志があるベラがトワイネットと共に社会主義を勉強するのですが資本主義に対する反発としてはステレオタイプすぎですね。まぁ社会主義って共産主義の前の段階の思想なので理想の為に耐えてるベラってあの時のキャラには合ってるのですが、そこは言わなくても良いような。寧ろ解剖学について勉強って言った方がゴッドウィンとの繋がりも感じたのですが、そこは彼女の自由意志に合わせたんだろうなぁ・・・

 

以上を持って終わります。

シンプルな寓話にとてつもなく過激なアクセントだらけの映画でした。