短文感想 圧倒的リアリティで描かれる1952年から53年のソ連。超リアルだけど色んな意味で地獄!
個人的%率 95%
ネタバレ感想
制作15年、オーディション人数4万人、衣装4万着、主要登場人物400人などなどどんな作品なのか気になって観ました。
結果だけ云うならば超リアル。
話の筋だけを云うなら食堂のおばちゃんが尋問されて一夜共にした科学者をMGBと云う公安みたいな機関に売るって話なんですけど。
まぁ関係のあまりない話と会話が多くてそれを無駄と取るかそれともキャラクターの説明に取るかで分かれると思います。
ただリアル。
リアリティじゃなくて最早実際にそう云う生活してる人を映してる・・・まぁ2年間実際に生活されたらしいですけど、そのお陰かドキュメンタリーかドラマか分かんない感覚になり、非常に見応えのある映像になりました。
常に手ブレと静止を繰り返してる忙しないカメラワークがよりそれを強調してます。
リアリズムの果ての果て。もはや、ジャンル分け不可能と言える程のリアルさでこれは凄く刺激的です。これを観るとこの世の殆どの映画・・・ドキュメンタリーとかも含めての殆どが人が観やすいように魔改造された物だと感じる事が出来ます。
ただ、それだけは超魅力的ですけど肝心の話の語り方とかに関しては本当に私生活を切り取ったかのような感じですので所謂大作映画というか普段観ている映画のような感覚で見ると非常にエライ目に会います。
僕がこの映画を楽しめたのは元々エンターテイメント好きでリアリティよりもエンタメ要素が多いのが良いと常々思っていてそんな僕に対する反論がリアリティ云々の言葉を言われててだったら全部何から何までリアルにすれば良いじゃん!?変な演出も何もかも全部抜いてこそのリアルだろ?!と考えててこの映画はそんな考えのド真ん中を貫いていたから面白かったし、楽しかったんです。
しかもカメラワークが臨場感たっぷりだけどそのせいで誰が喋ってるのか分かりにくいおまけ付き。もう本当に聞き取り辛く、しかも大半が本筋とは違う日常会話!もう観てて凄い疲れたし、全て食堂とかの部屋の中で描かれるから凄い圧迫感。
クライマックスに位置する尋問シーンは凄い怖いです。尋問官のアジッポが拷問も混じえてやるのですが常に声を荒げる事もなく淡々とナターシャを辱めたり、それだけかと思えば酒を飲ませたり、タバコを吸わせたりとアメとムチが凄くてこれは純粋に怖いです。
更に怖いのが今作がソ連の当時の空気感や
生活を描いてますが観てる雰囲気はそんなに今と変わらないように感じるのがエゲツなく、つまらない日常と思ってるだけでスターリンの共産主義と云う政策の上手さと人々への入り込ませ方が如何に優れていたのかよく分かります。
こんなえげつない映画は久しぶりに観ました。
その事に気づいたから95%なんですけど。
因みに残りの5%に関しては尋問の時にナターシャがアジッポに質問する時、カメラが思いっきり揺れる部分があってそこだけマジで不愉快だからです。マジであそこであんな動きされると冷めるんだよ!
続編が公開されるそうですが、この作風の映像を5時間以上観る集中力と精神力は無いので自分はDVDが出たら二、三日ぐらい時間を掛けて観ることにします。